よくある大きな誤解です。NavVis テクノロジーの中で SLAM は非常に優秀なロバスト性を持ち、多くの場所でスキャニングを可能します。しかし、どんな場所でも可能というわけではありません。VLX 周辺の適度な距離にレーザーを反射してくれる静止物体(SLAM ターゲット)が存在している必要があります。ここでは、SLAM ターゲットの適度な距離や大きさについて考察します。VLX の特性を正しく理解しトラッキングエラーの発生を避けましょう。
VLX 頭部スキャナーと SLAM
VLX は頭部と前部レーザースキャナーの両方を用いて自己位置を推定しますが、水平方向の移動量推定には頭部のスキャナーが大きな役割を持ちます。オペレーターの周囲 360 °に存在する静止物との相対位置を常時トラッキングすることができるからです。
遠くに物があれば大丈夫なのか?
次の 3 条件が満たせること SLAM にとって理想的です。
- 多くのレイヤーで SLAM ターゲットを捉えることができること
- SLAM ターゲットから強度が強い(信頼できる)反射波を得られること
- SLAM ターゲットができるだけ 360 ° まんべんなく 存在すること
これを念頭に入れたうえで「遠くに物があれば SLAM が有効なはず?」という疑問について検討します。VLX 2 , 3 いずれも考え方は同じです。ここでは、VLX 3 を例にして考えます。
300 m 先でレーザーが捉えるもの
下図は 300m 先で ∠ 0° ~ 20° 内のレイヤーが到達する高さを●で示しています。300 m 地点での最高位置は 110 m を超え、レイヤー間隔はおおよそ 6.5 ~ 7.5m に達します。
※ スキャナーは地上高 2mで回転軸が垂直, レイヤー間角が一定でと仮定
300 m 先の SLAM ターゲットを捉えた場合、3 条件をどこまで満たすことができるでしょうか?
「多くのレイヤで捉えるため、 100 m (約 25 - 30階建て) のビルが周辺にある程度存在する」を満たす場所自体が稀で、遠く(しかも大抵の場合ビルはガラス張り)なので反射強度は望めません。3条件を 1 つも満たせません。
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原っぱの真ん中だが、周囲は木に囲まれている。この場合も 木の高さより下に何レイヤーのレーザーが当たっているでしょうか? 強度の弱い反射波が僅か数レイヤー分と考えれば VLX の移動量、自己位置推定をするには心もとないインプットです。 もちろん、距離が近ければ強度・有効なレイヤー数が増えて SLAM は機能するでしょう。 |
仮に、半分の距離となる 150 m 先に物がある場合、反射波強度は高くなりますが高さ 50m 以上のものに囲まれている場所でなければ、全レイヤーで捉えることができない計算になります。
「遠くに物があれば ...」 という条件だけでは 「SLAM にとって難しい現場」ということが言えます。
レーザーが地表に届く距離
※ スキャナーは地上高 2mで回転軸が垂直, レイヤー間角が一定でと仮定
下方のレーザーも考えてみます。意外かもしれませんが、頭部スキャナーから照射されるレイヤーが 地面に到達する距離は非常に大きな偏りが生じます。上方 3 レイヤーは 35m 以上で地面に届きます。それ以外のレイヤーはかなり密集して床面に到達しています。
もし SLAM ターゲットが 35m 内に多くのターゲットがあった場合どうなるでしょうか? ターゲットの大きさに依存しますが「多数のレイヤーで捉えうること」と「高い反射強度を得られる」確率が高く、3条件を満たしやすい・SLAM が機能しやすい場所と言えます。
まとめ
「300 m 内になにか物があればスキャニング可能だ」という考えは大きな誤解です。レーザーは目に見えませんが、特に屋外では「レーザーが今何を捉えているのか?」を常にイメージしながらスキャニングする意識が非常に大切です。
このイメージができると、VLX 2 に対してレーザーレンジと照射角度が拡大した VLX 3 の SLAM のロバスト性がなぜ向上したのかもご理解いただけると思います。
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