NavVis デバイスにもスキャニングが難しい・できない場所があります。SLAM による位置推定をするためには、 NavVis デバイスの近くに常に複数の動かないもの (壁、柱など) が存在し、それらと NavVis デバイスの相対位置が常に把握できる必要があります。
NavVis デバイスが自己位置を見失う状況をトラッキングエラーといいます。
について説明します。
トラッキングエラー : NavVis デバイスが自分の位置を見失った際の NavVis デバイスの挙動
トラッキングエラーが発生すると、リアルタイムマッピング中の画面で実際には移動していないにも関わらず NavVis デバイスのアイコンが勝手に移動してしまう、位置が定まらない、といった挙動が見られます。
下図はイメージです。この例のような場所で発生することはありません。
© NavVis GmbH
トラッキングエラー発生時の対処法
トラッキングエラーが顕著に発生している状況では、たとえコントロールポイントを利用してもコントロールポイント間のスキャニングができていなため正確なデータを得ることは難しいです。SLAM による位置の特定が行えるよう、一時的に大きめの静止物を置くなどの工夫が必要です。
以下は弊社での計測時にトラッキングエラーが起きた際の現場対応の例です。常に効果が約束されるものではありませんが参考にしてください。
- NavVis デバイスから 10 m 以内程度に畳ほどの大きさのものを周辺に数個置き、レーザーのターゲットとする。1つだと NavVis デバイスの向きを変えた際、NavVis デバイスからのレーザーが何も捉えていない瞬間ができやすくなるため、できるだけ多い(最低でも3個以上)ほうがよいです。
- 前部 Lidar からのレーザーが常にターゲットをとらえている状態を作る。カニのように横向きに歩くと、進行方向前後のものを SLAM のターゲットとして捕捉しやすくなります。
いずれも、レーザーがどのように物を捉えているかを想定する必要があります。
頭部 Lidar から死角でも、前部 Lidar で SLAM ターゲットを捉えられるケースです。レーザーの死角を意識すると、カニ歩きをした方が良い場所、ゆっくり歩いたほうが良い場所をイメージしやすくなります。
トラッキングエラーが発生しやすい不得手な場所
(SLAM にとって)変化のない、単調な場所はトラッキングエラーが特に発生しやすいです。このような場所ではデータ精度が低下します。
トンネルや変化のないのっぺりした長い廊下
最もご相談の多い例ですが、トンネルは SLAM にとって不得手な場所と言えます。周辺にはトンネル壁面があるものの、前後方向の移動を検知するための静止物が存在しないからです。建物内の長い、形状の変化の少ないのっぺりした廊下もトラッキングエラーが発生しやすいです。運よくスキャニングできた場合でも、構造物の長さが異なるなど精度が低下している可能性が非常に高くなります。
広く開けた場所(野原・河川敷やゴルフ場など)
そもそも周辺にほとんど何もないと、周辺の静止物との相対距離から位置を計算する SLAM にとって、手掛かりがない状態になります。その他似たケースとして以下のような場所があります。
- ボートにて水面を移動 : 水面は反射しないためスキャニングできません。河川 / 海上 / 湖面などの水面では SLAM の手掛かりがありません。
- 見晴らしの良い山の斜面、海岸付近の道路のり面 : 形状変化の少ない斜面だけは、SLAMの手掛かりにならないことが多いです。
NavVis デバイスは移動していないのに周りが動いているケース
- 風でNavVis デバイス周辺の草木が揺れている屋外環境
- NavVis デバイス周辺で大型車両や鉄道車両が走行
NavVis デバイスが静止しているにも関わらず、周辺環境自体が動いてしまうとトラッキングエラーが発生する要因になります。ただし、ビルや看板など静止物が周辺に十分あれば大丈夫です。
そもそも レーザーが正しく反射してこない場所
ガラスや鏡など NavVis デバイスに正しいレーザー反射波をとらえにくいものに囲まれていると、トラッキングエラーの原因になりやすいです。
周辺に複数の静止物があるのにトラッキングエラーが発生
SLAM にとって、壁が存在しない屋外は屋内に比べて物が少ないといえます。物が多い少ないを定量的に表現することは難しいですが、オペレーターの視覚・視野で捉えた景色と SLAM が捉える景色には大きなギャップがあることに気を付けることが重要です。
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